50代の得意の棚卸し|書き出す問い・表の型・次の働き方への生かし方

目次
結論から言うと、50代の「得意」の棚卸しは、仕事・家庭・趣味の3つの場面で「人から頼まれること」「時間を忘れること」などの問いに答えて書き出し、表にまとめて言葉にするのがよいと考えています。
「あなたの得意なことは何ですか」と聞かれて、言葉に詰まる。何十年も働いてきたのに、いざ聞かれると、これといって胸を張れるものが浮かばない。そんな経験をした人は、少なくないかもしれません。
得意なことが見つからないのは、得意がないからではなく、自分にとってあまりに当たり前になっているからだと考えています。毎日のようにやってきたことは、できて当然に感じてしまい、「得意」という名前がつきにくいのです。
この記事では、50代がこれまでの時間の中から得意を拾い出す方法として、問いの立て方、表にまとめる型、見つかった得意を次の働き方や学び直しにつなげる考え方を紹介します。何かを約束するものではなく、ご自身の暮らしに合うところだけ取り入れてください。
得意の棚卸しは、なぜ50代に向いているのですか?
積み重ねた経験の量が多く、仕事・家庭・趣味の3つの場面に、まだ名前のついていない得意が眠っていることがあると考えるからです。
50代は、仕事で任される範囲が変わったり、子育てや親の世話といった家庭の事情が動いたり、これからの働き方を考え直す時期でもあります。そのとき、「自分には何ができるのか」が言葉になっていないと、選択肢を比べることも難しくなります。
得意を言葉にしておくと、次のような場面で役に立つと考えています。
- 働き方を変える・続けるを考えるときの、判断の材料になる
- 学び直しの分野を選ぶときに、自分に合う方向の見当がつく
- 人に自分のことを説明するときに、言葉に迷いにくくなる
ここでいう「得意」は、人より優れていることとは限りません。「自分にとって苦にならない」「気づくと自然にやっている」といったことも、得意の入口として扱います。
得意(強み)を書き出すには、どんな問いを使えばよいですか?
「人から頼まれること」「時間を忘れること」「苦にならないこと」「よく褒められること」「つい気になってしまうこと」の5つの問いを、仕事・家庭・趣味の3つの場面にあてはめます。
問いは、一度に全部答えようとしなくて構いません。場面ごとに、思い浮かぶものから書いていきます。
| 問い | 書き出すときのヒント |
|---|---|
| 人から頼まれること | 職場、家族、友人から、よく声をかけられる場面は何か |
| 時間を忘れること | 気がつくと時間がたっていた作業は何か |
| 苦にならないこと | ほかの人が面倒に感じても、自分は平気なことは何か |
| よく褒められること | 「助かった」「ありがとう」と言われた場面は何か |
| つい気になってしまうこと | 頼まれなくても、気づくと手を出していることは何か |
3つの場面は、次のように考えると思い出しやすくなります。
| 場面 | 思い出すヒント |
|---|---|
| 仕事 | 担当した業務、後輩への教え方、会議や取引先とのやりとり、段取りの組み方 |
| 家庭 | 料理、片づけ、家計の管理、家族の相談役、行事の取りまとめ |
| 趣味 | 続けていること、人に教えたこと、集めているもの、詳しくなった分野 |
書き出すときは、「大したことではない」と思っても消さないことが大切です。「資料の誤字に気づく」「場の空気をやわらげる」「予定を調整する」など、小さく見えることが、あとで言葉になることがあります。
書き出した得意は、表にどうまとめればよいですか?
「出来事」「やっていたこと」「あてはまる問い」「得意の言葉」の4列の表にして、具体的な出来事から得意を言葉にします。
問いに答えて書き出すだけでは、バラバラのメモのままで終わりがちです。表にまとめると、共通点が見えやすくなります。
| 出来事 | やっていたこと | あてはまる問い | 得意の言葉(仮) |
|---|---|---|---|
| 職場の新人が困っていた | 手順を順番に説明して、メモにまとめた | 頼まれた | 分かりやすく順序立てて伝える |
| 家族の旅行の計画 | 行き先、時間、費用を調べて表にした | 時間を忘れた | 情報を集めて整理する |
| 趣味の集まりの連絡係 | 日程の調整と連絡を取りまとめた | 頼まれた | 人の予定をまとめて動かす |
表の右端の「得意の言葉」は、仮の言葉で構いません。ここは、出来事を一つずつ見て、「これは何が得意だったのだろう」と考えて書きます。
同じような言葉が何度も出てくるなら、そこが、ご自身の得意の中心かもしれません。たとえば、「整理する」「伝える」「段取りを組む」「聞く」「調べる」のように、動詞で書くと、仕事の種類が変わっても使いまわしやすくなります。
得意が言葉になったあと、どう見直せばよいですか?
「好きか」「続けられるか」「人の役に立つ場面があるか」の3つで見直して、使い続けたい得意を絞ります。
得意だからといって、すべてを仕事にする必要はありません。得意でも、やりたくないことはあります。
| 見直す視点 | 確かめること |
|---|---|
| 好きか | その作業をしている時間が、嫌ではないか |
| 続けられるか | いまの体力や生活のリズムで、無理なく続けられるか |
| 役に立つ場面があるか | 家庭・職場・地域のどこかで、実際に必要とされる場面があるか |
3つの視点で見て、特に「好き」と「続けられる」が重なるものは、次の一歩の候補になると考えています。得意でも、疲れや負担が大きいものは、あえて手放すという選択もあります。
得意を次の働き方や学び直しにつなげるには、どう考えればよいですか?
得意の言葉を、いまの仕事の中での使い方、新しい働き方での使い方、学び直しで補うことの3つに分けて考えます。
得意が見えたら、次のように分けて、無理のない範囲で考えてみてください。
| 方向 | 考え方の例 |
|---|---|
| いまの仕事で生かす | 同じ得意を、担当の範囲やチームでの役割の中で、もう少し意識的に使う |
| 新しい働き方で生かす | 勤務形態や仕事の種類が変わっても、同じ得意を使える場面を探す |
| 学び直しで補う | 得意を支える知識や道具が足りなければ、小さく学んで補う |
たとえば、「整理して伝える」ことが得意だとしたら、いまの職場で資料づくりを引き受ける、別の仕事で説明役を担う、文章や図の作り方を学び直す、といった道があります。ただし、どれを選べばうまくいくと言えるものではありません。得意は、働き方や学びを選ぶときの「材料の一つ」と考えるのが安全です。
学び直しの分野を選ぶ手順は、学び直しは何から始める?50代の3つの問いで整理しています。働き方の判断軸については、50代の働き方を考える:続ける・変える・休むを選ぶための判断軸をあわせて読んでみてください。
得意の棚卸しで、気をつけたいことはありますか?
得意を一つに絞り込まない、人と比べない、思い出せなくても焦らない、気持ちが落ち込むときは中断する、の4つに気をつけてください。
- 一つに絞り込まない: 得意は複数あって構いません。最初から「これだけ」と決めなくてよいのです
- 人と比べない: 「もっとすごい人がいる」と思っても、それは得意でなくなる理由にはなりません。自分にとって自然にできるかどうかが物差しです
- 思い出せなくても焦らない: 一度に書けなくても、数日かけて、思い出したときにメモを足していく形でも十分です
- 気持ちが落ち込むときは中断する: 書き出す途中で、うまくいかなかった記憶ばかり浮かんで苦しくなる場合は、無理に続けず、休んでください。必要に応じて、身近な人や専門の相談窓口に話すことも選択肢です
結局、50代の得意の棚卸しはどう進めればよいですか?
仕事・家庭・趣味の3つの場面で、5つの問いに答えて書き出し、4列の表にまとめて得意の言葉をつくる。そのうえで、好きか・続けられるか・役に立つ場面があるかで見直し、次の働き方や学び直しの材料にする。この流れで進めればよいと考えています。
得意の棚卸しは、何かを証明するための作業ではありません。これまで積み重ねてきた時間の中から、自分にとって自然にできることを拾い直す作業です。小さな出来事から始めてみてください。あわせて、次の記事も読んでみてください。
よくある質問
得意なことが一つも思い浮かばないときは、どうすればよいですか?
「人から頼まれること」から考えてみてください。自分では当たり前だと思っていることを、周りは得意だと見ていることがあります。それでも浮かばないときは、一度に答えようとせず、数日かけてメモを足していく方法もあります。
得意は、仕事に直接つながるものでなくてもよいのですか?
かまいません。家庭や趣味の中の得意も、棚卸しの対象です。仕事につなげるかどうかは、書き出したあとに、好きか・続けられるか・役に立つ場面があるかで見直して決めれば十分です。
棚卸しをすれば、仕事や収入は変わりますか?
変わると約束することはできません。得意の棚卸しは、働き方や学び直しを考えるときの材料を整える作業です。そのあとにどう動くかは、生活の状況や体調、周りの事情によって人それぞれ違います。
本記事は運営者の考え方です。成果を約束するものではありません。